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アートコラム④

「なぜ「創造性」を求められるのか”創造性の威力/デッサンの効用”」


美術の基礎力をつけるためには、まずデッサンを描きます。デッサンする対象を「モチーフ」と呼び、描く目的意識(モチベーション)を意味します。デッサンの基礎は、モチーフをよく観ることからはじめます。描きながらよく観るとモチーフについて新しい発見が生まれます。「絵に描ける」ということは「モチーフを理解できた」ということが実感できるのです。そういった気づきが増えていくことでモチーフへの印象が変わり関心が深まっていきます。

対象への関心が深まり、さらによく観つづけることで“答えのない問題(悩み)”の原因が分かってきて対処(解決)の糸口も発見することができます。このようにデッサンの基礎を学ぶことで「描くコツ」だけではなく「見方のコツ」も身についていきます。よく観る習慣がついて観察力が向上してくると観る対象への着眼点が劇的に変わってくるのでモチーフや身の周りのモノ・風景だけではなく、絵画の観方も変わってきます。それまで知っているつもりだった絵画をよく理解していなかったことに気づき、それまで関心のなかった作家や時代の絵画までも新鮮な魅力が観えてきて鑑賞作品への興味の幅が広がっていき、作者の制作意図の理解も深まっていくのです。

たとえば、イタリア ルネサンス期の巨匠レオナルド・ダ・ヴィンチが描いた名画「モナ・リザ:1503-1506年制作」もそれまでは”名画“という捉え方だけだったのが、見えてくる視点が増えていきます。


・なぜ「モナ・リザ」を持ち運びやすい小さいサイズのキャンバスに描いたのか?

・仕事でも途中で投げ出すほど飽きっぽい彼がこの絵だけ執着して、なぜ何度も加筆していたのか?

・この絵のために開発した絵画技法や左右を違う表情で描かれた顔、大きく描いている右手、背景に描かれている風景の謎?


など、彼自身が「私の作品を理解できるのは、数学者だけだ。」と言っているようにこの絵にはたくさんの仕掛け(意図)が潜んでいます。よく観察することで作者の意図に気づいていけるとそれまでとは全く違う絵として目に映り、違った興味が生まれてきます。デッサンの基礎を学ぶとモチーフや絵画の見方だけではなく、日常の感じ方、五感の使い方が変わってくることに驚くはずです。